Last Update 2024/11/14

ブラシレス・モータ&インバータ・キット2E エコノミー・セット

製造元: (株)ミツバ/製造元: 小野塚精機(株)/販売元: CQ出版社
【直接販売商品】
価格102,500円(税込)
2021年7月20日発行
好評発売中!
{取扱い商品-Tech Villageセレクト・シリーズ} ブラシレス・モータ&インバータ・キット2E エコノミー・セット

 本キットでは,“ブラシレスDCモータ”の構造と動作原理を体感して理解できるように,「モータのコイルを手巻き」し,「インバータ回路をはんだ付け」して組み立てていきます.多様な「制御プログラムの開発・試行」ができるように,STM32 Nucleoボードを搭載しており,Mbed開発環境に対応しているので,開発環境をインストールしなくてもUSBケーブルでPCと接続するだけでプログラミングが可能です.本キットでは,コイルの巻き方でモータの特性がどのように変わるか,制御プログラムでどのような特性が引き出せるのか,回生の効果はどうか,などが定量的かつ体感的に分かるように,少し大きなモータにしています.

旧インバータ・キットと同じように,卓上での試運転程度の負荷を想定しています.FETは安価なものを利用し,FETの放熱板も含みません.平滑用の電解コンデンサも数量を8個→4個に削減することでコストを抑えています.
 エコノミー・セットは以下の方を想定しています.
・初めてブラシレス・モータを組み立てる方
・負荷はかけずに,実験ベンチ上でモータの回転原理を学ぶ方
・コイルの巻き方や材料によって出力特性がどのように変化するのかを実験する方
 本キットは,大きく分けて,(1)モータ本体,(2)モータ・ドライバ基板,(3マイコン基板,(4)センサ基板,(5)モータ固定台,(6)解説書の七つから構成されます.

(1) モータ本体は「アウタ・ロータ型12極18スロット」
 本キットのモータは,省エネ対応の高効率モータとして注目度が高まっている“ブラシレスDCモータ”/“永久磁石同期モータ”に分類されます.
 回転方式はアウタ・ロータ型で,外側の永久磁石を内蔵するカップ状のロータ(回転子)が中心軸と一体で回転し,コイルをもつステータ(固定子)がカップ状の内部で固定される方式です.ロータのカップ状内側に永久磁石が12個貼り付けられています.ステータには,18個のスロット(コイル)付きのコア(電磁鋼板)をもちます.これらにより,“3相PWM 120°矩形波駆動”のインバータ制御を実現しています.
 モータ外形 :φ115.6,長さ102.7
 重量    :約2.4kg
 定格出力  :巻線・結線によりカスタム可能(標準仕様60W)
 最大出力  :150W
【作るポイント】――本キットでは,モータをコイル巻きから組み立てていただきます.標準でφ1.0mmのマグネット・ワイヤ(エナメル線)が付属していますが,求めるトルクや回転数に応じて,巻き方/巻き数を自由に決めることができます.もし,スロットあたり20ターン6直(1相当たり)でコイルを巻き,24VでPWM駆動した場合には,無負荷モータにどのような出力波形を出すかは,制御基板からの指令により決まります.
 なお,本キットには駆動用電源は含まれていません.負荷に相応した出力のある安定化電源が必要です.


(2)モータ・ドライバ・ボード
 モータ・ドライバ・ボードは,ブラシレス・モータのU,V,W相に数10Aの電流を流すためのFETを6個搭載します.マイコンからの指令によってハイ・サイド,ロー・サイドのFETがON/OFFを繰り返します.電動車いすや小型EVカートの駆動に使える数100Wクラスのブラシレス・モータを駆動できます.
【作るポイント】――本キットでは,MOSFET,DC-DCコンバータ,ゲート・ドライバIC,ダイオード,抵抗,コンデンサ,スイッチ,コネクタなどを半田付けしていただきます.また,ヒートシンクなど放熱対策を追加強化することにより,駆動能力をアップできます.ドライバ基板にどのような出力波形を出すかは,制御基板からの指令によります.

(3) マイコン・ボード
 マイコン・ボードには,汎用性の高いSTマイコンを搭載したNUCLEO-F302R8を使っています.STマイクロエレクトロニクスのマイコンは世界でも高いシェアを占めており,得た知識は就職後に役立つでしょう.
 開発環境にはmbedを利用します.mbedを利用することで,筆者提供のプログラムをウェブ・ページ上でコンパイルし,実行プログラムをダウンロードできます.それをドラッグ&ドロップでマイコン・ボードに書き込めるので,学生が躓きがちな開発環境のセットアップに時間を取られません.
 慣れてきたら,筆者提供プログラムをベースに,モータ駆動を自由にカスタマイズできます.

(4) センサ基板には「ホール・センサICを3個搭載」
 ロータの永久磁石の位置を検出するために,ホール・センサICを搭載する基板をモータ本体のステータ(コイル上)に設置します.
【作るポイント】――はんだ付けと,位置調整が必要です.

(5) モータ固定台
 回転動作を確認,実験するために,専用の固定台を用意しました.

(6) 解説書(CD-ROM付き)
 本キットを製作するための「組み立て解説書」とソフトウェア開発の手順を説明した「ソフトウェア解説書」計約100頁と,モータのコイルの巻き方を示したビデオ画像と,各基板の全回路図を収録したCD-ROMも添付しています.
*
 はんだ付けの作業経験が少ない方でも,丁寧に作業を進めることで,組み立てることは十分に可能ですが,まったく経験がなく一人で組み立てる自信のない方のために当キットの実習セミナ(CQエレクトロニクス・セミナ)を不定期的に開催しています.

(7) 部品セットの販売
 当キットの保守用として,部品セットを販売しています.「モータのボビン・コア部だけを追加して購入したい」,「モータ・ドライバ」だけを購入したい,という方は,この部品セットからご購入いただけます.詳しくはここをご参照ください.

(8) 駆動電源電圧
 当キットのインバータ基板部は電源電圧18V〜32V(DC)に対応した設計です.もしDC12V駆動を中心にするのであれば,キットで使用しているDC-DCコンバータを12V-12Vのものに変更されることをお薦めします.