オシロ/SGからスペアナ/ネットアナ/ラジオまで
TRSP No.146 信号処理プログラミングで操るソフトウェア無線機&計測機
トランジスタ技術SPECIAL編集部 編
B5判 240ページ
定価2,970円(税込)
JAN9784789846868
2019年4月1日発行
好評発売中!
SDR(Software Defined Radio)は,μV級の微弱なアナログ信号をA-D変換してコンピュータで処理し,解析するセンシング・マシンです.「ソフトウェアで定義する受信機」という言葉の定義からすると無線機であるべきですが,その汎用性は通信機にとどまりません.脳波の測定や超音波レーダ,広帯域なオーディオ機器など幅広く応用できます.
本書では,2つの製作事例を題材に,SDR機器の内部構成や設計について解説します.
◆製作事例 その1
安価なマイコン・ボード「ラズベリー・パイ」とFPGA(Field Programmable Gate Array)を組み合わせて製作した電波受信機
◆製作事例 その2
FPGAを搭載したUSB接続の信号処理実験基板.ソフトウェアの変更によって各種測定器として使える
従来の無線通信はさまざまな分野の知識を必要とするため習得が大変でしたが,最近は高周波回路のワンチップ化が進み,わずかなICを組み合わせるだけでハードウェアが完成します.一方で,FPGAなどのディジタル信号処理の知識や,ソフトウェア上の処理についての知識が必要となります.本書を通じてSDR機器の設計を追体験することで,SDRについての理解が深まります.
目 次
雑音から1μV以下,MHz 超の微弱信号を拾い上げて演算!
Introduction 電波も解読! これからのセンシング計測マシン「SDR」
第1部 【製作事例 その1】マイコン・ボード+FPGAによる電波解読マシン
宇宙,太陽,気象衛星,電子回路…万物のヒソヒソ声を電波で解読
第1章 ラズベリー・パイと拡張ボードで作るSDRマシン「Piラジオ」
Appendix 1 SDRマシンが高性能である理由
受信50M〜2GHz,帯域30MHz,感度-120dBm@10kHz帯域
第2章 Piラジオの仕様とハードウェア
2GHzを15MHzに周波数ダウン&ディジタル変換! RFワンチップで手作り
第3章 Piレシーバ処理ブロック (1)I/QミキサとA-D変換回路
Appendix 2 無線機の感度や最大入力レベルの検討に欠かせないひずみやS/Nの机上計算
Appendix 3 受信したい周波数の「位相」,「ずれ」,「振幅」を一瞬で言い当てることができるI/Q復調技術
FPGAでA-D変換データの1サンプル周期を引き延ばしてからラズパイに進呈
第4章 Piレシーバ処理ブロック (2)CICフィルタ (3)データ出力タイミング調整バッファ
コンピュータは計算が大得意! 復調したり,周波数分析したり,表示したり…
第5章 ラズパイ処理ブロック (4)FIRフィルタ (5)復調 (6)サウンド出力 (7)FFT演算 (8)波形表示
Appendix 4 ソフトウェア無線機「Piラジオ」の七変化ぶり
台風Now! 高気圧Now! NOAAをダイレクト受信してWebより断然早く
第6章 Piラジオが雲の動きを速報! リアルタイム気象衛星レシーバ
太陽の表面や-270℃に冷え切った宇宙の果ての温度測定に挑戦
第7章 Piラジオ×BSアンテナで作るアストロ・サーモ・レシーバ
夢のRF コンピュータ・トランシーバ製作(1) 準備
第8章 アナログ変調/ディジタル変調の基礎と実験
夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(2) 送信機のアナログ・フロントエンド回路を作る
第9章 2つの信号を高周波に乗せるI/Q変調
夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(3) ベースバンド信号の生成 その1
第10章 疑似ノイズを加えて隠密通信! スペクトラム拡散変調
夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(4) ベースバンド信号の生成 その2
第11章 送信用ベースバンド信号の帯域を制限するディジタル・フィルタを作る
夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(5) 帯域制限フィルタの実装
第12章 送信側+受信側で1人前! Root Raised Cosineフィルタ
夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(6) レシーバの信号処理技術 その1
第13章 シンボル同期の原理
夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(7) レシーバの信号処理技術 その2
第14章 動き回るシンボル点を止める位相&周波数制御
夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(8) ディジタル送受信機の完成
第15章 妨害に強い! 広帯域スペクトラム拡散の実験
第2部 【製作事例 その2】測定器として使える信号処理実験基板
スペクトラム/ネットワーク解析からFMチューナ/SSBトランシーバまで実現できる
第1章 私が作ったUSB-FPGA信号処理実験基板
ハイ・インピーダンス・バッファ,アンチエイリアシング・フィルタ,差動変換,A-D変換
第2章 スペクトラム・アナライザを作る(1) 全体構成と前段のアナログ回路
LVDS DDR信号,可変遅延回路,DS,複素周波数変換,CICフィルタ
第3章 スペクトラム・アナライザを作る(2) LVDS信号をFPGAに取り込んで周波数変換する
デシメーション,分解能帯域幅,エイリアシング,周波数変換,CICフィルタ,メモリ・コントロール
第4章 スペクトラム・アナライザを作る(3) サンプリング周波数を落としてメモリに書き込む
窓関数,フーリエ変換,周波数スイープ,プログラムの制作,測定誤差,測定例
第5章 スペクトラム・アナライザを作る(4) パソコンで窓関数処理とFFT…スペアナ完成
インターフェース・モードを使いこなしてFPGAとパソコンを橋渡しする
第6章 USBインターフェースの実装
入出力伝達特性を測り,振幅/位相/群遅延を求める
第7章 ネットワーク・アナライザを作る
20Hz〜40MHzでAM/DSB/FM変調付き
第8章 信号発生器を作る
周波数の時間変化を見る
第9章 FMアナライザを作る
音声帯域9kHzまで完全フラット! スプリアス抑圧比80dB!
第10章 SSB信号発生器を作る
USB-FPGA信号処理実験基板とRFフロントエンド・アダプタで作る
第11章 1GHzディジタル・シグナル・アナライザの製作
Appendix 5 ダイレクト・コンバージョン式SDRトランシーバ・キット「mcHF」