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変換のメカニズムと性能の引き出し方
A-Dコンバータ活用 成功のかぎ

松井 邦彦 著
A5判 296ページ
定価3,080円(税込)
JAN9784789842044
2010年8月15日発行
好評発売中!
A-Dコンバータ活用 成功のかぎ

 A-Dコンバータは,コンピュータを使った制御やデータ収集に欠かせません.最近ではワンチップ・マイコンの中に集積されていることも多くなり,それほど意識せずに使っていると思います.しかし,高い精度が欲しい,多チャネルの情報を取り込みたい,もっと高速な信号を扱いたい…となると,扱いは急激に難しくなります.
 本書では,A-Dコンバータを大きく3種類に分けて,使い方と動作原理を解説します.性能を引き出すために必要な周辺回路の考え方と,システムにしたとき必ず問題になるノイズ対策の方法を示します.信頼できるディジタル・データを得たい場合にお勧めの一冊です.

目次

第1章 いろいろなA-Dコンバータ
 マイコン内蔵A-Dコンバータと専用ICの使い分け
 1-1 ADコンバータ専用ICの近況と予想
 1-2 マイコンに内蔵されたADコンバータの性能
 1-3 ワンチップ・マイコンのADコンバータ活用例
 Column 分解能と精度の関係
 Column 非直線性誤差
 Column ADコンバータの出力コード形式のいろいろ

第2章 高SNRのシステムを実現するノウハウ
 アナログ回路のノイズ対策を実例で知る
 2-1 パソコンや大型システムに繋ぐときは必ず絶縁する
 2-2 アナログ回路はシールド・ケースに入れる
 2-3 フィルタ回路で雑音を増幅しないように注意
 2-4 電源ではコモン・モード・ノイズ対策を忘れずに
 2-5 アナログ・ディジタル混在システムの電源設計

第3章 ΔΣ型A-Dコンバータの活用ノウハウ
 24ビットまでの分解能がワンチップで得られフィルタ設計も楽
 3-1 精度が必要ならまずΔΣ型を検討してみる
 3-2 ΔΣ型の長所と短所
 3-3 できるだけ高精度にAD変換するには
 3-4 何気なく付けてしまう入力RCフィルタの値に要注意
 3-5 精度を保つにはプリアンプに使う回路とOPアンプが重要
 Column 雑音による影響は実効値を6〜6.6倍したピーク値で考える
 Column スイッチト・キャパシタ回路
 Column ADコンバータの分解能を高くしてロー・コスト化
 Appendix ADコンバータのキャリブレーション

第4章 ΔΣ型A-Dコンバータのしくみ
 高精度が得られるが高速応答が難しい理由
 4-1 ΔΣ型ADコンバータのしくみ
 4-2 なぜ1ビットで高分解能が可能か…SNRを上げる二つのテクニック
 4-3 オーバーサンプリングとノイズ・シェーピングの効果を確認
 4-4 ΔΣ変調器と並んで重要なディジタル・フィルタの働き
 4-5 1Mspsを超えるΔΣ型ADコンバータのしくみ
 Column ADコンバータの量子化雑音とSNR/分解能の関係
 Column オーバーサンプリングによりアナログ・フィルタの負担が小さくなる
 Column DAコンバータ出力とSINC関数

第5章 高精度計測に必要な基準電圧源
 適切な品種を選ぶために動作原理を把握する
 5-1 ADコンバータの精度を決める基準電圧源
 5-2 入手しやすい汎用ツェナー・ダイオードの限界
 5-3 温度係数が小さい温度補償型ツェナー・ダイオード
 5-4 長期安定性の良い埋め込み型ツェナー・ダイオード
 5-5 一番よく使われるICタイプの基準電圧源
 Column リファレンスICの性能を引き出す実装方法

第6章 逐次比較型A-Dコンバータの使い方
 分解能と速度のバランスがよくさまざまな用途に応用できる
 6-1 逐次比較型ADコンバータの長所と短所
 6-2 高精度が必要なら高めの基準電圧と差動入力で使う
 6-3 雑音を除去するためのロー・パス・フィルタが必須
 6-4 たくさんの信号をロー・コストにAD変換できる
 Column ADコンバータ前のLPFはSNR改善のためにも必要

第7章 逐次比較型A-Dコンバータのしくみ
 非直線性の発生原因とサンプル&ホールド回路の必要性を理解する
 7-1 アナログ電圧をディジタル・データに変換するしくみ
 7-2 逐次比較型で問題になりやすい非直線性誤差
 7-3 変換開始からデータ取り込みまでの流れ
 7-4 サンプル&ホールド・アンプの動作と必要性
 7-5 サンプル&ホールド・アンプで生じる四つの誤差
 Column もう一つの非直線性…積分非直線性誤差INL
 Column サンプル&ホールド・アンプ専用ICの動作方式
 Appendix 逐次比較型ADコンバータの精度を決めるDAコンバータのしくみ

第8章 アンチエイリアシング・フィルタの作り方
 折り返し雑音を防ぐために必要な特性をどのように考えるか
 8-1 アンチエイリアシング・フィルタの仕様の考え方
 8-2 実用的なフィルタの設計例
 8-3 低消費電力なパッシブ・フィルタの作り方
 8-4 カットオフ周波数をディジタル設定できるロー・パス・フィルタ
 Column LCシミュレーションに欠かせないFDNR回路

第9章 高速A-Dコンバータのしくみと使い方
 10Msps以上の高速変換を行うときのICの選択と注意点
 9-1 高速ADコンバータの代表的な変換方式
 9-2 クロックにはジッタの少ない水晶発振モジュールを使用する
 9-3 高分解能品の駆動には専用の差動出力ICを使う
 9-4 数GHz以上の信号を扱うときの工夫
 9-5 高速ADコンバータの特性評価

第10章 ディジタル・アイソレータ活用ノウハウ
 電源ノイズの発生源を理解して効果的に対策する
 10-1 ディジタル回路のノイズがアナログ回路に影響するのを防ぐには
 10-2 コモン・モード・ノイズの影響を避けるにも絶縁が有効
 10-3 ディジタル・アイソレータの動作原理
 10-4 ディジタル・アイソレータICの使用例
 10-5 電源に同期したクロックを使って電源ノイズを除去する