シミュレーションと実験で学ぶアナログ回路の構築技法
トランジスタの料理法
柴田 肇 著
B5変型判 272ページ
CD-ROM付き
定価3,080円(税込)
JAN9784789841719
2007年5月15日発行
大変恐縮ですが,こちらの商品は品切れ絶版となりました.
接合型バイポーラ・トランジスタ(Bipolar Junction Transistor;BJT)は,極めて美しい基本的性質をもっており,それらをうまく組み合わせることによって高性能な電子回路やICを設計することができます.
本書ではまず,単体のトランジスタのふるまいから増幅のメカニズム,電流/電圧の扱い方を理解します.さらに,代表的なアナログICであるOPアンプの内部回路をトランジスタ・レベルで解析し,乗算回路,A-Dコンバータ,非線形回路の構成方法をマスタすることを目指します.掲載しているトランジスタ回路については,電子回路シミュレータPSpiceとSIMetrixで利用できるデータ・ファイルを付属CD-ROMに収録してありますので,回路やパラメータを変更してさらなる解析に役立てることができます.
*本書は「トランジスタ技術」誌に2003年10月号から2005年1月号まで連載された「トランジスタ Cooking!」を元にして,大幅に加筆,修正を行ったものです.
目次
第1章 トランジスタによる増幅のメカニズム
1-1 素材を生かす
1-2 トランジスタのあらまし
1-3 ダイオードのふるまいを理解する
1-4 トランジスタの基本動作
1-5 トランジスタを使った初めての増幅
1-6 トランジスタが増幅するメカニズム
第2章 トランジスタで上手に増幅する方法
2-1 トランジスタを詳しく調べる
2-2 ダイオードから考えるトランジスタの動作
2-3 トランジスタの等価回路を考えてみよう
2-4 トランジスタの弱点を知る
2-5 トランジスタで上手に増幅する方法
2-6 弱点を克服するための差動増幅回路
Appendix A 半導体物理から見たバイポーラ・トランジスタの動作
第3章 電流源をトランジスタで作る
3-1 電圧源と比較しながら電流源の性質を知る
3-2 トランジスタ1個で作る電流源
3-3 電流源の差動増幅回路への応用
3-4 電流源の出力インピーダンスをさらに上げるテクニック
第4章 電流をコピーするカレント・ミラー回路
4-1 基本カレント・ミラー回路
4-2 いろいろなカレント・ミラー回路
4-3 電流複製時の誤差
4-4 トリッキーなカレント・ミラー回路
4-5 カレント・ミラーの応用:D-Aコンバータ
第5章 電圧をコピーするエミッタ・フォロワ回路
5-1 電圧をコピーする
5-2 トランジスタで電圧をコピーする
5-3 エミッタ・フォロワの応用回路
第6章 OPアンプの基礎と負帰還のしくみ
6-1 OPアンプのあらまし
6-2 OPアンプを知るための第一歩…負帰還の働き
6-3 OPアンプのゲインと負帰還後の回路の性能
6-4 交流信号に対するOPアンプの応答
6-5 負帰還後の性能はループ・ゲインで決まる
第7章 トランジスタで作るOPアンプ:基礎編
7-1 トランジスタ1個のOPアンプ
7-2 差動対と抵抗負荷によるOPアンプ
7-3 差動対とカレント・ミラー負荷によるOPアンプ
7-4 差動対とカレント・ミラーとエミッタ接地回路によるOPアンプ
7-5 差動対とカレント・ミラーとエミッタ接地回路と電圧バッファによるOPアンプ
7-6 スリューレート
第8章 トランジスタで作るOPアンプ:応用編
8-1 フォールデッド・カスコード型OPアンプ
8-2 フォールデッド・カスコードとカスコード・ブートストラップによるOPアンプ
8-3 カレント・ミラー型のOPアンプ
8-4 高スリューレートのOPアンプ
8-5 バッファとカレント・ミラーによる電流帰還型OPアンプ
第9章 掛け算を処理する乗算回路
9-1 対数変換による乗算回路
9-2 差動増幅回路による乗算回路
9-3 ギルバート・ゲイン・セル
9-4 ギルバート乗算器
第10章 フラッシュ型A-Dコンバータを作る
10-1 クロックト・コンパレータ
10-2 正帰還増幅回路の設計
10-3 クロックト・コンパレータを完成させる
10-4 シミュレーションで動作を確認
第11章 ΔΣ型A-Dコンバータを作る
11-1 ループ・ゲインは歪みやノイズを小さくする
11-2 ローパスΔΣ型A-Dコンバータ
11-3 ローパスΔΣ型A-Dコンバータのトランジスタ化
11-4 バンドパスΔΣ型A-Dコンバータ
第12章 トランスリニア原理を応用する
12-1 トランスリニア原理とは
12-2 基本的な関数の合成
12-3 複数のトランスリニア・ループがある場合の解析方法
12-4 ベクトルの振幅を計算する回路
12-5 ループ内に並列接続のトランジスタがある場合の解析方法
12-6 絶対値回路
12-7 2象限2乗回路
12-8 三角関数生成回路
第13章 オシロスコープに文字を描く回路を作る
13-1 オシロスコープに文字“Q”を描く
13-2 三角波を滑らかな信号に変換するトランジスタ回路
13-3 文字“Q”の生成回路を作る
13-4 実際の回路
13-5 試作と動作の確認
第14章 負帰還を正しくかけるための基礎知識
14-1 ガス湯沸かし器で不安定な帰還を体験
14-2 OPアンプになりきって不安定を体験する
14-3 負帰還増幅器が発振する条件
14-4 ボーデ線図の描きかたと活用法
14-5 トランジスタ増幅回路の安定性
14-6 安定の度合いはループ・ゲインの周波数特性からわかる
14-7 OPアンプの安定性の検討
14-8 位相補償法
Appendix B ミラー補償の原理と極分離
Appendix C ループ・ゲインを正確に解析する方法
Appendix D 修正節点解析法