フィルタの定数設計から伝送線路解析まで
電子回路シミュレータSPICE実践編
遠坂 俊昭 編著
A5判 296ページ
CD-ROM付き
定価3,080円(税込)
JAN9784789836296
2004年6月1日発行
大変恐縮ですが,こちらの商品は品切れ絶版となりました.
電子機器の設計現場では,回路方式や電子部品の選定時に行う定数設計や部品誤差による特性ばらつきを検証する際,回路シミュレータが活用されています.パソコンを使って回路の動作や特性を予測することで,仕上がりの性能や動作安定性などをコントロールできるようになり,試作の回数や工数を削減できるからです.
本書は,定番シミュレータPSpiceのインストールと基本機能の操作方法を解説した姉妹書
「電子回路シミュレータPSpice入門編」に続く第2弾です.電源回路やOPアンプによるアクティブ・フィルタなど,設計に回路シミュレータを活かす事例を集大成しました.
付属CD-ROMには,本書で実際にシミュレーション解析した回路のデータ・ファイルを収録しました.姉妹書
「電子回路シミュレータPSpice入門編」の付録CD-ROMに収録されているシミュレーション・ツールをパソコンにインストールすれば,本書で紹介された回路を実際に動作させることができ,より理解が深まることでしょう.
「Micro-Cap7/CQ版」用回路データも,付属CD-ROMに収録しています.
目次
まえがき
付属CD-ROMのコンテンツと使い方〜はじめにお読みください〜
収録データについて
シミュレーション用データの構成
Micro-Cap7/CQ版にライブラリを追加する方法
Micro-Cap7/CQ版でシミュレートするときの注意点
プロローグ SPICEの歴史と設計に生かす方法
SPICEとは
実際の回路設計にSPICEを活用するには
第1章 パッシブ・フィルタ設計への応用
〜コンデンサとコイルを使って希望の周波数特性を実現する〜
1.1 LCフィルタ
LCフィルタのあらまし
LCフィルタの設計
周波数応答の異なる三つのフィルタ…バターワース,ベッセル,チェビシェフ
1.2 HPFの設計…LPFを元に変更する
1.3 現実のインダクタを使った LPFのシミュレーション
第2章 アクティブ・フィルタ設計への応用
〜LPF/HPF/BPF/FDNRフィルタの作り方〜
2.1 ローパス・フィルタ
2.2 ハイパス・フィルタ
2.3 バンド・パス・フィルタ
設計事例
遅延特性
素子のばらつきによる特性変化
2.4 FDNRフィルタ
第3章 整流回路設計への応用
〜コンデンサ入力型からチョーク入力型まで〜
3.1 整流用ダイオード・モデルの研究
3.2 電源投入時のトランスの挙動を調べる
電源投入時の電流
ブリッジ整流回路では?
3.3 いろいろな整流回路の特徴を調べる
シミュレーションする前に整流用ダイオード・モデルを作る
コンデンサ入力型整流回路のいろいろ
チョーク入力型整流回路のいろいろ
第4章 伝送回路設計への応用
〜高速ディジタル信号のさまざまな応答を見てみよう〜
4.1 高速ディジタル回路のプリント基板に起きている問題
クロック周波数100MHzのメモリの場合
クロック周波数200MHz以上のメモリの場合
4.2 SPICEで分布定数回路を解析する
動作周波数の高いディジタル回路は分布定数回路で扱う
コイルとコンデンサの組み合わせで伝送線路を表す方法はあまり使えない
PSpiceの伝送線路パーツTを利用する
プリント基板の比誘電率をパラメータに反映する
損失のある伝送線路のシミュレーション
4.3 パルス信号の伝送波形のシミュレーション解析
シミュレーションの準備
集中定数線路を使った過渡応答解析
伝送線路モデル「パーツT」を使った過渡応答解析
4.4 ステップ信号の伝送シミュレーション解析
4.5 メモリ・データ伝送回路
第5章 負帰還回路設計の基礎
〜負帰還のしくみを理解して位相補償の方法を学ぶ〜
5.1 負帰還の基礎
出力信号を入力に帰還して増幅器の諸特性を改善する技術
負帰還回路設計時の問題点…安定に動作させられるかどうかがカギ
5.2 オープン・ループの周波数特性と安定度の関係を見る
周波数の異なる2種類のOPアンプを作る
1次遅れ回路が二つあるOPアンプICは負帰還をかけると動作が不安定になる
1次遅れ回路の時定数とピークの大きさの関係を調べるシミュレーション
負帰還回路の安定度は位相余裕で定量的に評価する
5.3 位相補償をマスタするには単純なCR回路の理解から
5.4 位相余裕を確保するテクニック
スタガ比を大きくする
時定数の低いほうの周波数特性をステップ状にする
|AOβ|=1付近だけ位相遅れを90°に近づける
β回路に位相を進ませるコンデンサを追加する 126
第6章 トランジスタ・アンプの位相補償テクニック
〜シンプルなオーディオ用のパワー・アンプ回路に学ぶ〜
6.1 シミュレーション回路の概要
6.2 初段の差動増幅回路の動作を理解しよう
エミッタ共通回路の動作
差動増幅回路の動作
6.3 負帰還をかけない状態でシミュレーション解析する
出力段の直流特性を調整する
負帰還をかけたときの発振しやすさの予測と対策
6.4 各増幅段の調整による負帰還時の安定度確保
6.5 特性の改善
第7章 PLL回路設計への応用
〜心臓部「ループ・フィルタ」の設計にSPICEを活用しよう!〜
7.1 負帰還回路PLLのあらまし
7.2 安定動作のためのループ・フィルタの要件
7.3 実際のPLLを例にしてループ・フィルタを設計してみよう
位相比較器‐VCO‐分周器のモデリング
ループ・フィルタのゲイン-周波数特性と位相の変化のようす
7.4 PLL全体のループ・ゲインの周波数特性
7.5 位相余裕によるPLL回路の特性の違いを実験する
7.6 アクティブ・ループ・フィルタを使用した帯域25M~50MHzのPLLをシミュレーション
第8章 評価版PSpice用OPアンプ・モデルのふるまいと性能
〜EVAL/TORAGIライブラリのOPアンプを正しく使いこなそう〜
8.1 OPアンプ・モデルの一番重要な「ゲイン-周波数特性」の確認
8.2 EVALライブラリのOPアンプ・モデルの性能
出力インピーダンス
スルー・レート
入力雑音
消費電流
8.3 TORAGIライブラリの簡易OPアンプ・モデル
第9章 メーカ製OPアンプ・マクロモデルの研究と作成
〜メーカ製OPアンプ・モデルの研究とオリジナル・モデルの作成〜
9.1 OPアンプのマクロモデルとは
Boyleのマクロモデル
9.2 各社のマクロモデル
TI社のLM318マクロモデル
リニアテクノロジー社のLM318マクロモデル
NS社のLM318マクロモデル
まとめ
9.3 OPアンプの自作マクロモデル
第10章 PSpiceのトランス・モデルの使い方
〜トランスを利用した計測回路や電源整流回路の設計に使える〜
10.1 評価版PSpiceのトランス・モデルの呼び出しとパラメータ設定
10.2 過渡特性のシミュレーション
1次側から2次側への電圧と電流の変換比を調べる
2次側の負荷がないときの1次側電流の挙動を調べる
負荷ありのときの1次側電流と電圧からコアのB-H特性を調べる
10.3 実際のトランスの等価回路
トランスの等価回路の構成部品をチェック
低域と高域の等価回路
10.4― トランス・モデルの等価回路の検証
XFRM_LINEARの等価回路
K-Linearの等価回路の検証
10.5 トランス・モデルは実際のトランスを表現できているか
電源トランスのインピーダンス周波数特性を実測して等価回路を求める
実測とシミュレーションによる入出力間ゲイン‐周波数特性はほぼ同じ
10.6 ランスを使った計測回路設計にシミュレーションを役立てる例
コラム PSpiceトランス・モデルの結合係数の意味 258
第11章 メーカ製半導体モデルの利用方法
〜インターネット上にあるSPICEモデルのダウンロードとPSpiceでの応用事例〜
11.1 マクロモデルのあらまし
11.2 メーカ製マクロモデルを使ったシミュレーションの実験
サーキット・ファイルを作る
IRL3103のマクロモデルを探す
ライブラリ・ファイルを作る
シミュレーションをしてみる
11.3 パワーMOSFETのマクロモデルの松竹梅
精密なモデルを使えば良いということではない
11.4 OPアンプのモデル
11.5 シミュレータは問題を解決してくれない
Appendix PSpiceで作ったシミュレーション回路データをSIMetrixやMicro-Capで利用する方法
評価版シミュレータの機能と互換性
星取り表の項目について
PSpice/Captureが自動生成したネット・リストをほかのシミュレータで利用する
●本書付属のCD-ROMについてのご注意
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