増幅回路技術を実験を通してやさしく解析
定本 トランジスタ回路の設計
鈴木 雅臣 著
A5判 324ページ
定価2,350円(税込)
JAN9784789830485
1991年12月20日発行
好評発売中!
今,ハードウェア技術者に不足していること…それは自分の手で回路をじっくりと実験して考察する時間です.本書はそんな多忙な技術者,あるいは技術者をめざす人のためのとてもわかりやすいトランジスタ回路の本です.たぶん本邦最後のトランジスタ回路の解説書です.
目次
第1章 トランジスタ回路への誘い
1.1 はじめはトランジスタやFETがいい
ICしか使えないと…
トランジスタやFET回路には無限の可能性がある
1.2 トランジスタとFETの動作イメージ
増幅動作とは
トランジスタの動作
FETの動作
1.3 最近のトランジスタとFET
外形(パッケージ)の進化
内部構造の進化
トランジスタ,FETの逆襲
第2章 増幅回路を動かす
[エミッタ接地回路を実験する]
2.1 増幅回路の波形を見る
5倍のアンプだ!
ベースにはバイアスが…
ベース-エミッタ間電圧が0.6V!
2種類のトランジスタ
出力はコレクタ電圧の変化分だ
2.2 増幅回路を設計してみよう
各部の直流電位を求めるには
交流的な電圧増幅度を求めるには
設計する回路の仕様
電源電圧を決める
トランジスタを選ぶ
エミッタ電流の動作点を決める
RcとREの決め方
ベース・バイアス回路の設計
結合コンデンサC1,C2の決め方
電源のデカップリング・コンデンサC3,C4の決め方
2.3 作った増幅回路の性能
入力インピーダンスは
出力インピーダンスは
増幅度と周波数特性
高域のカットオフ周波数は
トランジスタを高周波用に替えると
周波数特性が延びない理由
増幅度を大きくしたいとき
雑音電圧特性をみると
全高調波ひずみ率は
2.4 エミッタ接地の応用回路
NPNトランジスタと負電源を使った回路
PNPトランジスタと負電源を使った回路
正負電源を使った回路
低電源電圧・低消費電流増幅回路
二相信号発生回路
ローパス・フィルタ回路
高域増強回路
高周波・広帯域増幅回路
140MHz帯同調増幅回路
第3章 出力を強化する回路
[エミッタ・フォロワ回路を実験する]
3.1 エミッタ・フォロワの波形を見る
入力と同じ出力信号だ
負荷抵抗の影響を受けない
3.2 回路を設計してみよう
電源電圧を決める
トランジスタを選ぶ
トランジスタのコレクタ損失を計算する
エミッタ抵抗のREの決め方
バイアス回路の設計
コンデンサC1〜C4の決定
3.3 作ったエミッタ・フォロワの性能
入出力インピーダンスは
出力負荷が重くなったとき
プッシュプルのエミッタ・フォロワにすると
改善したプッシュプル型エミッタ・フォロワ
振幅周波数特性を見ると
雑音および全高調波ひずみ率は
3.4 エミッタ・フォロワの応用回路
NPNトランジスタと負電源を使ったエミッタ・フォロワ
PNPトランジスタと負電源を使ったエミッタ・フォロワ
正負電源を使ったエミッタ・フォロワ
定電流負荷を用いたエミッタ・フォロワ
正負電源を使ったプッシュプル型エミッタ・フォロワ
2段直結型プッシュプル・エミッタ・フォロワ
OPアンプ+エミッタ・フォロワ
OPアンプ+プッシュプル・エミッタ・フォロワ(その1)
OPアンプ+プッシュプル・エミッタ・フォロワ(その2)
第4章 ミニパワー・アンプの設計・製作
[オーディオ・アンプの試み]
4.1 電力増幅回路の急所
電圧増幅と電流増幅に分ける
単純なプッシュプルだと
スイッチングひずみを補正しても
熱暴走を防ぐには
アイドリング電流の温度変動を抑える
実験の回路設計では
4.2 ミニパワー・アンプの設計法
つくる回路の仕様
電源電圧を決めるには
エミッタ接地増幅回路の動作点
増幅度を決める部分
エミッタ・フォロワのバイアス回路
エミッタ・フォロワ部の電力損失
出力回路周辺の部品たち
4.3 作ったミニパワー・アンプの性能
回路の調整は
回路の動作波形
オーディオ・アンプとしての性能
4.4 ミニパワー・アンプの応用回路
PNPトランジスタで作ったバイアス回路
PNPトランジスタで電圧増幅を行なう回路
ミニミニパワー・アンプ
第5章 パワー・アンプの設計・製作
[本格オーディオ・アンプの試み]
5.1 大電力を得る方法
ポイントは発熱対策
大電流を制御するときの考え方
ダーリントン接続の効用
電流を増やすには…パラレル接続だ
パラレル接続の実際…電流バランスが大切
パラレル接続の成功の鍵は熱結合
アイドリング電流とひずみ率の関係
アイドリング電流と発熱の関係
放熱設計を考えるとき
ヒート・シンクの大きさを決めるには
トランジスタの安全動作領域とは
5.2 パワー・アンプの設計
アンプの仕様
電源電圧を最初に
OPアンプによる電圧増幅段の設計
エミッタ・フォロワの入力電流は
バイアス回路の定数の決定
パワー段エミッタ・フォロワの設計
パワー段の消費電力とヒート・シンク
うまく動作させるための部品
5.3 作ったパワー・アンプの性能
回路の調整は
回路の動作波形
オーディオ・アンプとしての性能
保護回路を付加するには
5.4 パワー・アンプの応用回路
ブリッジ・ドライブ回路
オーディオ用100Wパワー・アンプ
第6章 周波数特性をのばすには
[ベース接地回路を実験する]
6.1 ベース接地回路の波形を見る
非反転の5倍のアンプだ
ベースは交流的に接地
6.2 ベース接地回路を設計してみよう
電源まわりの設計とトランジスタの選択
交流的な増幅度を求めるには
抵抗値Rc,RE,R3の決め方
バイアス回路の設計
コンデンサC1〜C5の決め方
6.3 作ったベース接地回路の性能
入出力インピーダンスは
増幅度と周波数特性
周波数特性が良い理由
ほんとに入力容量Ciの影響がないの?
ノイズおよび高調波ひずみ率
6.4 ベース接地回路の応用回路
PNPトランジスタを使ったベース接地増幅回路
NPNトランジスタと負電源を使ったベース接地増幅回路
正負電源を使ったベース接地増幅回路
数百MHzまでの高周波広帯域増幅回路
150MHz帯同調増幅回路
第7章 ビデオ・セレクタの設計・製作
[ベース接地とエミッタ・フォロワ回路の試み]
7.1 ビデオ信号を切り替えるには
ビデオ信号の性質
インピーダンス・マッチングとは
ビデオ信号をスイッチするときには
7.2 ビデオ・アンプの設計
ベース接地+エミッタ・フォロワ
各部の直流電位の設定
結合コンデンサは容量を大きく
方形波応答を見ると
周波数特性と群遅延特性
トランジスタを高周波用に変えると
ビデオ・セレクタの応用
7.3 ビデオ・セレクタの応用回路
PNPトランジスタのエミッタ・フォロワを使うと
5V電源で動作するビデオ・セレクタ
第8章 カスコード回路の設計
[周波数特性の良い本格回路を実験する]
8.1 カスコード回路の波形をみる
カスコード回路とは?
エミッタ接地回路と同じようだが
利得ゼロのエミッタ接地回路
ミラー効果が発生しない
可変電流源+ベース接地=カスコード回路
8.2 カスコード回路を設計してみよう
カスコード回路の増幅度は
電源電圧を決める
トランジスタの選択・決定
動作点は出力容量Cobを考えて
利得を決めるRE,R3,R2は
バイアス回路を設計する前に
R1とR2の決定
R4とR5の決定
コンデンサC1〜C8の決定
8.3 作ったカスコード回路の性能
入力インピーダンスを測定する
出力インピーダンスは
増幅度と周波数特性
高域の特性に注目すると
どっちのトランジスタがf特を決めるのか?
雑音特性をみる
8.4 カスコード回路の応用設計
PNPトランジスタを使ったカスコード回路
ビデオ信号増幅回路
カスコード・ブートストラップ回路
第9章 負帰還増幅回路の設計
[ゲインの大きな2段直結回路を実験する]
9.1 負帰還増幅回路の波形をみる
大きな電圧増幅度を得るには
100倍のアンプだ
Tr1の動作がおかしい?
Tr2の動作はOK
9.2 負帰還増幅回路の原理
増幅段の電流分配をみると
負帰還をかけるとは
ほんとに負帰還なのか?
回路の利得を求める
帰還回路の重要な式
9.3 負帰還増幅回路を設計してみよう
電源まわりの設計とトランジスタの選択
NPNとPNPを組み合わせる理由
Rs+R3とR2の決定
R4とR5の決定
Rf,Rs,R3の決定
バイアス回路R1とR2の決定
コンデンサC1〜C4の決定
C5〜C7の決定
9.4 作った負帰還増幅回路の性能
入力インピーダンスを測定する
出力インピーダンスを測定する
増幅度と周波数特性
正確な裸利得は…
高周波領域の特性
雑音特性をみる
全高調波ひずみ率
Tr1をFETに置き換えると…
9.5 負帰還増幅回路の応用回路
低雑音増幅回路
低域増強回路
高域増強回路
第10章 直流安定化電源の設計・製作
[エミッタ接地とエミッタ・フォロワ回路の試み]
10.1 安定化電源のしくみ
基本はエミッタ・フォロワ
負帰還で出力電圧を安定化する
10.2 可変電圧電源の設計
作る回路の構成
出力トランジスタの選択
そのほかの制御用トランジスタ
誤差増幅器の設計
安定動作のためのコンデンサ
整流回路の設計
10.3 作った可変電圧電源の性能
出力電圧/出力電流特性
リップルと出力ノイズ
正負電源への応用
10.4 直流安定化電源の応用回路
低残留リップル電源回路
低雑音出力可変電源回路
3端子レギュレータの出力電圧をアップする方法
第11章 差動増幅回路の設計
[OPアンプの基本技術を実験する]
11.1 差動増幅回路の波形を見る
アナログICの中身をみると
入力端子が2本,出力端子が2本
二つのエミッタ接地増幅回路
二つの入力に同じ信号を入れると
11.2 差動増幅回路の動作原理
二つのエミッタ電流の和が一定
二つの入力信号の差を増幅する
電圧利得を検討するには?
利得はエミッタ接地の1/2だが
差動増幅回路のメリット
デュアル・トランジスタの登場
11.3 差動増幅回路を設計してみよう
電源電圧の決定
Tr1とTr2の選択
Tr1とTr2の動作点の決定
定電流回路の設計
R3とR4の決定
R1とR2の決定
C1〜C6の決定
11.4 作った差動増幅回路の性能
入出力インピーダンスは
電圧増幅度と低周波での周波数特性
高周波での特性
雑音特性
11.5 差動増幅回路の応用回路
カスコード化
カスコード・ブートストラップ化
差動増幅回路+カレント・ミラー回路
カスコード・ブートストラップ+カレント・ミラー回路
第12章 OPアンプ回路の設計・製作
[ICに匹敵する回路の実現への試み]
12.1 OPアンプとは
なぜOPアンプの設計
表記法と基本的な動作
増幅回路としてみると
非反転増幅回路のとき
12.2 トランジスタによるOPアンプの回路構成を決める
モデルは汎用のμPC4570だ
OPアンプμPC4570の回路構成
設計するOPアンプの回路構成
設計するOPアンプの名前は4549
12.3 トランジスタOPアンプ4549の回路定数を求める
トランジスタの選択
差動増幅部の設計
LEDで定電圧を作る
Tr1の負荷抵抗R1を求める
エミッタ接地増幅部の設計
エミッタ・フォロワ部の設計
位相補償回路C1とR4の決定
C2〜C5の決定
12.4 トランジスタOPアンプ4549の動作波形
反転増幅回路として動かす
非反転増幅回路として動かす
12.5 作ったトランジスタOPアンプ4549の性能
入力オフセット電圧
スピードを見る…スルーレート
周波数特性
雑音特性
全高調波ひずみ率
4549とμPC4570の勝負の結果
12.6 トランジスタOPアンプ回路の応用回路
JFET入力のOPアンプ回路
初段をカスコード・ブートストラップ化したOPアンプ回路
初段をカレント・ミラー回路を用いたOPアンプ回路
2段目をカスコード・ブートストラップ化したOPアンプ回路