電子回路を理解するには,回路の定石パターンを知ること,値を手計算できること,回路を動かして確認することが大切です.「回路を動かす」のに役に立つのが回路シミュレータです.実際の部品をそろえたり,はんだ付けしたりする必要はありません.パソコン上で回路を構成し,動作をシミュレーションできます.回路図上の任意の点の電流値/電圧値の波形を描くことも朝飯前です.
本書では,無償で使える定番の回路シミュレータ「LTspice」を使いながら,電子回路を基礎から解説します.本書で紹介する基本回路のシミュレーション用データを付属DVD-ROMに収録しているので,回路の動作をシミュレーションで確認しながら学べます.また,応用編として,シミュレーションを活用した実践的な回路設計事例も紹介しています.
目次
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Introduction はじめの一歩! 回路図の読み解き方心得
基礎編 まずはここから! 電子回路を理解するための基礎知識
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知らないと恥ずかしい…世界のエンジニアの共通語
第1章 部品の記号と回路図の描き方
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電子工学の単位について基礎を理解する
第2章 単位と物理量入門
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電卓を取り出したり,「ゲインは10 万倍」なんて言ったらモグリ
第3章 倍率をパパッと暗算! プロ御用達単位[dB]
準備編 無料の回路シミュレータLTspice入門
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付属DVDのLTspice XVIIを動かしてみる
第4章 パソコンで無限実験! 初めての電子回路シミュレーション
学習編 動かしながら理解する電子回路入門
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第5章 [初級] 回路図読解の基本法則&定理を押さえる
■ 教室[1]オームの法則
■ 教室[2]キルヒホッフの法則
■ 教室[3]鳳- テブナンの定理,ノートンの定理
■ 教室[4]全電流の定理
■ 教室[5]バーチャル・ショート
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第6章 [中級]定理を応用して実用回路にチャレンジ
■ 教室[6]抵抗4個の実用回路「ホイートストン・ブリッジ」
■ 教室[7]回路の反応スピード「ステップ応答」の計算
■ 教室[8]交流源や雑音源が秘めるパワー「実効値(RMS)」
■ 教室[9]「平均値」と「絶対平均値」
■ 教室[10]温度T=熱抵抗θ×発熱量P! オームの法則で熱解析
■ 教室[11]フルディスクリート・トランジスタ回路の読み解き方
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第7章 [上級]プロもハマる落とし穴あり! 実践ノウハウをマスタする
■ 教室[12]電源/ 信号源と負荷をつなぐ術
■ 教室[13]OPアンプの正しい選び方@ 電源安定化コンデンサの最適容量
■ 教室[14]OPアンプの正しい選び方A アンプのオープン・ループ・ゲイン
■ 教室[15]OPアンプの正しい選び方B 入力雑音電圧と入力雑音電流
■ 教室[16]OPアンプの正しい選び方C 微小信号出力の立ち上がり速度限界
■ 教室[17]OPアンプの正しい選び方D
大信号出力の立ち上がり速度限界「スルー・レート」
■ 教室[18]ダイオードの逆バイアス電圧- 容量を測る
応用編 シミュレーションを活用した回路設計事例
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バイポーラ/MOSFETからOPアンプまで! 世界の半導体モデルを動かしてみよう
第8章 聞き比べて検証! 基本電子回路のシミュレーション
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百戦錬磨のプロはこうやってアンプやフィルタの性能を出している
第9章 実験&シミュレーションの両刀使い! アナログ回路の設計術
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Appendix 1 LTspice のことなら"LTwiki"
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Appendix 2 10万点超! 世界30社の部品データ一覧
▲本書の各記事は,「トランジスタ技術」に掲載された記事を再編集したものです.
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