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 SDR(Software Defined Radio)は,μV級の微弱なアナログ信号をA-D変換してコンピュータで処理し,解析するセンシング・マシンです.「ソフトウェアで定義する受信機」という言葉の定義からすると無線機であるべきですが,その汎用性は通信機にとどまりません.脳波の測定や超音波レーダ,広帯域なオーディオ機器など幅広く応用できます.
 本書では,2つの製作事例を題材に,SDR機器の内部構成や設計について解説します.
◆製作事例 その1 安価なマイコン・ボード「ラズベリー・パイ」とFPGA(Field Programmable Gate Array)を組み合わせて製作した電波受信機
◆製作事例 その2 FPGAを搭載したUSB接続の信号処理実験基板.ソフトウェアの変更によって各種測定器として使える
 
 従来の無線通信はさまざまな分野の知識を必要とするため習得が大変でしたが,最近は高周波回路のワンチップ化が進み,わずかなICを組み合わせるだけでハードウェアが完成します.一方で,FPGAなどのディジタル信号処理の知識や,ソフトウェア上の処理についての知識が必要となります.本書を通じてSDR機器の設計を追体験することで,SDRについての理解が深まります.

 

目次

 
  • Introduction 電波も解読! これからのセンシング計測マシン「SDR」
第1部 【製作事例 その1】
    マイコン・ボード+FPGAによる電波解読マシン

  • 宇宙,太陽,気象衛星,電子回路…万物のヒソヒソ声を電波で解読
    第1章 ラズベリー・パイと拡張ボードで作るSDRマシン「Piラジオ」
  • Appendix 1 SDRマシンが高性能である理由
  • 受信50M〜2GHz,帯域30MHz,感度−120dBm@10kHz帯域
    第2章 Piラジオの仕様とハードウェア
  • 2GHzを15MHzに周波数ダウン&ディジタル変換! RFワンチップで手作り
    第3章 Piレシーバ処理ブロック (1)I/QミキサとA-D変換回路
  • Appendix 2 無線機の感度や最大入力レベルの検討に欠かせないひずみやS/Nの机上計算
  • Appendix 3 受信したい周波数の「位相」,「ずれ」,「振幅」を一瞬で言い当てることができるI/Q復調技術
  • FPGAでA-D変換データの1サンプル周期を引き延ばしてからラズパイに進呈
    第4章 Piレシーバ処理ブロック (2)CICフィルタ (3)データ出力タイミング調整バッファ
  • コンピュータは計算が大得意! 復調したり,周波数分析したり,表示したり
    第5章 ラズパイ処理ブロック (4)FIRフィルタ (5)復調 (6)サウンド出力 (7)FFT演算 (8)波形表示
  • Appendix 4 ソフトウェア無線機「Piラジオ」の七変化ぶり
  • 台風Now! 高気圧Now! NOAAをダイレクト受信してWebより断然早く
    第6章 Piラジオが雲の動きを速報! リアルタイム気象衛星レシーバ
  • 太陽の表面や−270℃に冷え切った宇宙の果ての温度測定に挑戦
    第7章 Piラジオ×BSアンテナで作るアストロ・サーモ・レシーバ
  • 夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(1) 準備
    第8章 アナログ変調/ディジタル変調の基礎と実験
  • 夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(2) 送信機のアナログ・フロントエンド回路を作る
    第9章 2つの信号を高周波に乗せるI/Q変調
  • 夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(3) ベースバンド信号の生成 その1
    第10章 疑似ノイズを加えて隠密通信! スペクトラム拡散変調
  • 夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(4) ベースバンド信号の生成 その2
    第11章 送信用ベースバンド信号の帯域を制限するディジタル・フィルタを作る
  • 夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(5) 帯域制限フィルタの実装
    第12章 送信側+受信側で1人前! Root Raised Cosineフィルタ
  • 夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(6) レシーバの信号処理技術 その1
    第13章 シンボル同期の原理
  • 夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(7) レシーバの信号処理技術 その2
    第14章 動き回るシンボル点を止める位相&周波数制御
  • 夢のRFコンピュータ・トランシーバ製作(8) ディジタル送受信機の完成
    第15章 妨害に強い! 広帯域スペクトラム拡散の実験
第2部 【製作事例 その2】
    測定器として使える信号処理実験基板

  • スペクトラム/ネットワーク解析からFMチューナ/SSBトランシーバまで実現できる
    第1章 私が作ったUSB-FPGA信号処理実験基板
  • ハイ・インピーダンス・バッファ,アンチエイリアシング・フィルタ,差動変換,A-D変換
    第2章 スペクトラム・アナライザを作る(1)
    全体構成と前段のアナログ回路
  • LVDS DDR信号,可変遅延回路,DS,複素周波数変換,CICフィルタ
    第3章 スペクトラム・アナライザを作る(2)
    LVDS信号をFPGAに取り込んで周波数変換する
  • デシメーション,分解能帯域幅,エイリアシング,周波数変換,CICフィルタ,メモリ・コントロール
    第4章 スペクトラム・アナライザを作る(3)
    サンプリング周波数を落としてメモリに書き込む
  • 窓関数,フーリエ変換,周波数スイープ,プログラムの制作,測定誤差,測定例
    第5章 スペクトラム・アナライザを作る(4)
    パソコンで窓関数処理とFFT…スペアナ完成
  • インターフェース・モードを使いこなしてFPGAとパソコンを橋渡しする
    第6章 USBインターフェースの実装
  • 入出力伝達特性を測り,振幅/位相/群遅延を求める
    第7章 ネットワーク・アナライザを作る
  • 20Hz〜40MHzでAM/DSB/FM変調付き
    第8章 信号発生器を作る
  • 周波数の時間変化を見る
    第9章 FMアナライザを作る
  • 音声帯域9kHzまで完全フラット! スプリアス抑圧比80dB!
    第10章 SSB信号発生器を作る
  • USB-FPGA信号処理実験基板とRFフロントエンド・アダプタで作る
    第11章 1GHzディジタル・シグナル・アナライザの製作
 
  • Appendix 5 ダイレクト・コンバージョン式SDRトランシーバ・キット「mcHF」

▲本書の各記事は,「トランジスタ技術」に掲載された記事を再編集し,書き下ろしの章を追加して再構成したものです.
 
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    第2部 関連データ(トランジスタ技術の特設ページ からダウンロード)
     
    Appendix 5 関連データ
     「mcHFのファームウェアを改造するための環境構築法」(mchf_env_manual.pdf,155KB)
     
     mcHF rev 0.7の操作ムービ@(電源ON〜スイッチ類操作)
     
     
     mcHF rev 0.7の操作ムービA(タッチパネル操作)