衝突検出回路の正常動作を確認するために,MAUにはテスト回路が設けられている.このテスト回路が「有効」になっている場合には,フレーム転送直後にフレーム間ギャップの時間を利用して擬似衝突信号がMAUから発生されるが,この擬似衝突信号をSQEテスト信号と呼んでいる.
EthernetではCPT信号またはハート・ビート信号と呼ばれていたものと同じものである.ただし,その発生タイミングは,EthernetとIEEE802.3で少し異なっている.
SQE信号は,MAUから端末側に対してだけ発行される信号なので,同軸ケーブルなどの通信メディア自体には何の影響も及ぼさずネットワークに対する悪影響もないが,リピータだけは例外である.リピータに接続するMAUのSQEテストを絶対に「有効」にしてはいけない.リピータはその機能として,衝突発生時には各ポートにジャム信号を送出する.リピータにSQEテスト信号が入力されると,このジャム信号が発生し,ネットワークのトラフィック状況が極端に悪化してしまう.
なお,10BASE-Tのハブは,リピータの一種である.10BASE-TのハブのAUIインターフェースにMAUを接続する場合は,くれぐれもそのMAUのSQEテスト機能を「禁止」状態にしておくこと.