プログラムやデータを保存するための外部記憶装置の一つで,磁気ディスクとして金属やガラスの硬い円盤に磁性体を塗布したものを使う.
ディスクの直径は5.25インチ,3.5インチ,2.5インチ,1.8インチなどがあり,小型化と大容量化が進んでいる.インターフェースは,IDE,EIDEとSCSIが主流.EIDEのほうが内蔵型で安価.ディスク部分を交換できるリムーバブル・タイプもある.
磁気ヘッドは,高速回転しているディスクから受ける空気圧の変化により,ディスク面から数μm浮いた状態なので,外からの衝撃や突然の停電などで,ヘッドがディスク表面に衝突(クラッシュ)して壊れることがある.
ハード・ディスクをはじめとする磁気ディスクは,ディスク面に塗布された磁性体を磁気ヘッドにより磁化することによってデータを記録,その磁化を検知することによって読み取りを行う.
磁気ヘッドとしてMIGヘッドや薄膜ヘッドを使った場合,コイルに流す電流を制御し,電磁石と同じ原理で書き込む.一方,読み取りは,磁界の変化に伴い発生するわずかな電流(電磁誘導作用)を検出することにより行う.
ディスクの大容量化は,単位面積あたりの記録密度をいかに高くするかが鍵である.これには記録する磁気パターンをより細かくする必要があるが,細かくなるにつれ,保持磁力は次第に弱まり,ついには電磁誘導作用では検出できなくなる.
そこで,磁界によって抵抗が変化するMR素子を使った高感度なMRヘッドが登場し,1991年にIBM社のハード・ディスクにはじめて採用された.ただし,その性質上,読み取り専用なので,実際のヘッドは,記録用に薄膜ヘッド,読み取り用にMRヘッドというような複合ヘッドとなっている.