Last Update 2022/04/20

ちょこっと未来の技術を今のうちに体感
ラズパイ電子工作&光の実験で理解する量子コンピュータ

藤井 啓祐/武田 俊太郎/束野 仁政/漆谷 正義/山崎 清仁 共著
新書判 304ページ
定価1,760円(税込)
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2022年5月1日発行
好評発売中!
ラズパイ電子工作&光の実験で理解する量子コンピュータ

高速ネットワークのインフラが整い,個人が複数のスマホやパソコンを所有する現代,多くの人がテクノロジーの進化を実感していると思います.
そして…10年後のコンピュータやネットワーク,電子機器はどんな風に進化していくのだろうと感じている人も居るでしょう.
量子コンピュータは,従来のコンピュータのアーキテクチャとは全く異なる未来のコンピュータです.完成すると今の通信やセキュリティに用いられている暗号が簡単に破られると聞きます.巡回セールスマン問題やナップザック問題を解くことが得意とも聞きます.実体はどんなものなのでしょう.
本書では,ラズベリー・パイとPICマイコンを使って量子演算電卓の製作にチャレンジします.また,重ね合わせの原理や干渉といった光の実験を通して,量子コンピュータの挙動を理解します.難しい数式を使わず,ひとまず動かしたり,実験の様子をみたりすることで,量子コンピュータに慣れてもらうことが目的です.

本書は主に月刊『Interface』2019年3月号の特集「算数&電子工作から始める量子コンピュータ」の内容を再編集・加筆してまとめたものです.

目次

第1部 基礎知識から光の実験まで

ニュータイプ計算機 量子コンピュータの現状
第1章 なぜ知っておく必要があるのか
■ 注目の理由
■ 現在…中規模量子デバイス時代
■ これからの期待

従来とは違う原理の計算機がもたらすもの
第2章 広がる世界
■ 量子コンピュータでできるもの
■ 得意技1:量子の世界そのものの計算
■ 得意技2:量子とは関係のない計算
■ アルゴリズムの進化という恩恵
■ 将来見えてくる世界

原点からさかのぼる
Appendix1 歴史
■ 物理学の歴史
■ コンピュータの歴史
■ 量子力学とコンピュータの出会い
■ 第1次ブームの到来
■ 第2次ブームの到来

従来のコンピュータのビットとは根本的に違う
第3章 数式なしから始める
■ 量子コンピュータを支える量子力学の世界
■ 0でも1でもない重ね合わせ状態を表現できる「量子ビット」
■ ちょっと詳しく…量子ビットの表現に複素数を使う理由
■ 重ね合わせや干渉以外の量子ビットのルール
■ 量子ビットを使った電子コンピュータの演算
コラム 量子ビットで複素数を用いる理由を数式から見てみる

量子ビットの理解に欠かせない「重ね合わせの原理」&「干渉」
第4章 イラストで量子力学

身近な道具ではじめる不思議量子の世界
第5章 数千円で量子力学の現象を体感できる実験
■ 実験に必要な道具
■ 実験1:偏光板を使って「量子ビット」を測ってみる
■ 実験1-1:偏光板の特性を確認する
■ 実験1-2:重ね合わせの量子ビットの測定
■ 実験1-3:測定により量子ビットの状態が変わる
■ 実験2:量子の干渉を確かめる
■ 実験2-1:2つの経路を通った光子の干渉
■ 実験2-2:経路の識別と干渉の消失
■ちなみに…全ての実験は量子力学を使わなくても説明は可能

どのような装置で実現できるのか?代表的な方式の整理
第6章 ハードウェア大研究
■量子コンピュータのハードウェアに求められること
■ 量子コンピュータの「誤りの訂正」
■ 量子コンピュータのハードウェア開発最前線
■ 方式1:超電導回路
■ 方式2:イオン
■ 方式3:シリコン
■ 方式4:光
コラム パイオニア的存在の量子アニーリング・マシン

第2部 ラズパイ電子工作

研究者じゃなくても知っておきたい時代が来ている
第1章 エンジニア的量子コンピュータのすすめ
■ 今から知っておきたい電子コンピュータ
■ 量子コンピュータで広がる私の夢
コラム 電子コンピュータが得意だとよく話題にのぼる「巡回セールスマン問題」
■ 鍵となる分野…量子力学

1量子ビットを1PICマイコンで実現してみる
第2章 今回作るもの…擬似的な量子演算電卓
■ 電子工作で量子コンピュータ(もどき)を作る
■ できること…量子コンピュータ的ビット操作

まずは1ビットからはじめる
第3章 PICマイコンによる1量子ビット演算電卓の製作
■ ハードウェア 149
■ ソフトウェア 151
コラム 本物の量子コンピュータに近づけるための工夫
■ 量子ビットをラズパイから制御する
■ キーパッドから操作する

本格的な量子コンピュータへの第一歩
第4章 1量子ビットから5量子ビットに拡張する
■ 5量子ビットに改造する
■ 量子演算に挑戦する
■ 量子演算プログラム
■ 動作確認
■ 疑似量子電卓で足し算をする

第3部 PCでためす

Pythonで動作するQiskit
第1章 量子用ライブラリを試す
■ 量子コンピュータが期待される理由
■ 古典コンピュータとのちがい
■ 理解に必要な概念…「量子ビット」
コラム 量子コンピュータの歴史
■ 量子プログラミングをはじめる

アルゴリズムの解読と量子回路の実装
第2章 最初に見つかったアルゴリズムをシミュレーションしてみる
■ 量子コンピュータの可能性を最初に示した「ドイッチュのアルゴリズム」
■ 量子回路
■ 量子回路のシミュレーション

量子コンピュータに必須の
第3章 誤り訂正
■ 紹介すること…量子コンピュータの誤り訂正
■ 古典コンピュータの誤り訂正おさらい
■ 量子誤り訂正のアルゴリズム&プログラム
■ 量子アルゴリズムは進化中

量子コンピュータの応用例
第4章 コンテストの問題に挑戦
■ ここでとりあげる量子プログラミング・コンテストの問題
■ 問題1
■ 問題2
コラム 量子コンピュータの応用

なんとかこれくらい理解できれば…
Appendix2 高校数学でひもとく量子力学
■ 量子力学に必要な高校数学1:複素数
■ 量子力学に必要な高校数学2:ベクトル・行列
■ 大学レベルの量子力学の世界

ソースコードを眺めながら
Appendix3 C言語でひもとく量子力学
■ 量子計算の基本ルールその(1)…量子ビットの記述
■ 量子計算の基本ルールその(2)…1量子ビットの基本演習
■ 量子計算の基本ルールその(3)…複数量子ビットの演算
■ 2量子ビットの基本演算…CNOT
■ n量子ビット演算
■ 省メモリでシミュレーションする方法
■ まとめ

ソフトウェアから見る量子コンピュータの動向
Appendix 4 注目の量子コンピュータ用ライブラリあれこれ
■ クラウド経由で誰でも使える量子コンピュータが出てきている
■ 実機が実用レベルに達するまではお手軽なシミュレータを試すのがよい
■ 実機でもシミュレータでも使える量子コンピュータ・ライブラリ
■ 注目ライブラリ1:Qiskit
■ 注目ライブラリ2:Cirq
■ 注目ライブラリ3:pyQuil
■ 注目ライブラリ4:SymPy
■ Python以外の量子コンピュータ・ライブラリの動向