ニッケル水素/リチウム・イオンから電気二重層キャパシタまで
TRSP No.121 充電用電池の基礎と電源回路設計
トランジスタ技術SPECIAL編集部 編
B5判 144ページ
定価2,420円(税込)
JAN9784789849210
2013年1月1日発行
好評発売中!
近年,蓄電デバイスは,身近なノート・パソコン,スマートフォン,携帯音楽プレーヤなどの小型機器から,太陽光発電や都市ガスによる発電と組み合わせた家庭内蓄電・配電設備,さらには大容量で高性能なバッテリ・システムを搭載するEVやHEVなど,広がりを見せています.これらの動作や安全性は,大きく進化したバッテリ(充電用電池)とその周辺技術によって支えられています.
本書では,身の回りで接することが多くなったバッテリ(充電用電池)の基礎的な動作のしくみと周辺回路技術について解説します.また後半では,バッテリを活用した実例もとりあげています.
目次
ちょっとだけ充電用電池のおさらい
Introduction 入門・充電用電池の世界
第1部 充電用電池の基礎と周辺技術
進化を続ける電池やキャパシタの実際
第1章 蓄電デバイスの種類と性質
■コンビニで買えて高容量「ニッケル水素蓄電池」
■エネルギー密度が高いだけに取り扱い注意「リチウム・イオン蓄電池」
■安価でとても安全「鉛蓄電池」
■2次電池の放電特性
Appendix A 2次電池用語集
電池の動作原理と最新動向
第2章 リチウム・イオン2次電池の原理と展望
■電池の分類と電圧発生のしくみ
■何が電池の起電力を決めているのか
■リチウム・イオン2次電池の昔と今
■リチウム・イオン電池の構造と化学反応のあらまし
■リチウム・イオン2次電池の特徴
■リチウム・イオン2次電池の問題点と展望
無停電電源や電動工具に使われる低価格で長寿命の電池
第3章 小形シール鉛蓄電池
■小形シール鉛蓄電池とは
■小形シール鉛蓄電池の特性
■一般的な小形シール鉛蓄電池
Appendix B 研究!ニッケル水素蓄電池の耐久テスト
■テストの条件と結果
■寿命が短く感じるのは規格の充放電条件と違う使い方をしているから
大電流で充放電を繰り返しても劣化しにくいのはなぜ?
第4章 電気二重層キャパシタの蓄電のメカニズムと性質
■電気二重層キャパシタの特徴
■電気二重層キャパシタの概要
■電気的特性
■二つのキー・パラメータ
■実際の応用例
第2部 充放電の特性と回路技術
リチウム・イオンからニッケル水素まで安全かつ短時間にエネルギーを満たす
第5章 2次電池の充電回路の基本
■充電用電池の使われ方は2通り
■充電用定電流・定電圧電源の回路構成と特徴
■電池の種類に合った充電回路を採用する
Appendix C リチウム・イオン蓄電池とニッケル水素蓄電池の充電回路集
■リチウム・イオン蓄電池用充電ICと応用回路
■USBインターフェースを電源とする1直リチウム・イオン2次電池の充電回路
■USBインターフェースを電源とする2直ニッケル水素電池の充電回路
Supplement 1 充電コントローラ破壊時のリチウム・イオン2次電池保護回路
高機能で急速充電に対応した充電制御ICの元祖
第6章 ニカド/ニッケル水素蓄電池充電用IC bq2003/2004
■bq2003/2004の特徴
■bq2003/2004の基本動作
■bq2004の応用回路
電池2組によるバックアップ機能を簡単に実現!メモリ効果対策も可能
第7章 充放電制御&電源セレクタMAX1538と応用回路
■デュアル・バッテリ・システムの意義
■デュアル・バッテリ・システムの制御部をワンチップ化したMAX1538
■バックアップ電池を内蔵する5V出力の実験用電源回路に応用
Appendix D 主な充電制御IC
残量の検出精度が低ければ蓄電容量が大きくても意味がない
第8章 電池の残量を精度良く検出する技術と実例
■電池は残量を正確に把握しにくい
■残量の検出精度は重要
■電池残量を測る二つの方式
■パソコンの電池パックに使われている残量計測回路
■計測精度五つの誤差要因
■高精度の残量検出技術インピーダンス・トラック
高効率な充放電回路の設計に欠かせない
第9章 スイッチング・パワー回路用キー・パーツの基礎知識
■スイッチング用のパワー半導体
■インダクタ
■コンデンサ
第3部 2次電池活用事例集
変動の激しい風力発電機の出力電流をキャパシタで平準化
第10章 鉛蓄電池充電器の効率アップと長寿命化の研究
■風力発電機は鉛蓄電池に大きなストレスを与える
■風力発電機の出力電力をいったん電気二重層キャパシタで受け止める
■充放電電流の変動分の一部をEDLCに負担させる
■鉛蓄電池へのストレスをさらに小さくする
Appendix E リチウム・イオン蓄電池と大容量キャパシタを組み合わせてみた
■実験1:エネルギー密度と取り出せる電流を比較
■実験2:パルス電流を引いたときの出力電圧変動を比較
■実験3:両者を並列接続して負荷変動に強く長時間動作できるエネルギー源を作る
電圧とリプルをマイコンで監視し過充電や過放電を防ぐ
第11章 バイク用バッテリの状態表示・保護装置の製作
■回路の動作説明
■バッテリ劣化を判定する方法
■バッテリ電圧の検出誤差は約1%
■スタンバイ時の消費電流は0.865mA
Supplement 2 キャパシタ・ミニ用語集
電圧がばたつくハブダイナモ発電でも安定充電を実現!電池にも優しい!
第12章 足の負担や明るさの変化が少ない自転車LEDライト
■製作の動機
■ハブダイナモ発電による電源の観察
■足への負担が軽い!明るさも安定!電池も長持ち!
■回路を設計する
■組み立てと動作確認
■実働テスト
市販の簡易チェッカの欠点を改善した
第13章 ニッケル水素蓄電池の充電不足チェッカの製作
■製作の動機
■製作例1…外部電源動作タイプ
■製作例2…外部電源不要タイプ
■仕上げ
Appendix F 過放電防止回路と電池の消耗を知らせる回路
■バッテリの破壊を防ぐ過放電防止回路
■電池が消耗するとLEDが点滅する回路