速く,確実に,そして安全に! 高密度エネルギ・デバイスを正しく使いこなす
データに学ぶ Liイオン電池の充放電技術
江田 信夫 著
A5判 216ページ
定価2,970円(税込)
JAN9784789846301
2020年4月15日発行
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2019年のノーベル化学賞はリチウムイオン電池の研究開発と商品化にかかわった日本人を含めた3名の研究者に与えられました.今やリチウムイオン電池は,民生用の小さな電源に始まり,EVや電力貯蔵用の大型組電池まで“全能”型の電池となりました.
技術革新が続くリチウムイオン電池は,信頼性と安全性確保に向けた設計から製造/出荷に至るまで広範に研究開発が行われています.
本書では,「信頼性」の面から,電池に適した使用範囲や環境,処方などを,「安全性」の面から,破裂,発熱/発火が起こるメカニズムとその対策を具体的に紹介します.また,EV時代の急速充電への要求に向けた大電流充放電/大容量化をどう成立させていくか,その考え方を構造図と特性データを交えて解説します.
※ 本書は『トランジスタ技術』2018年11月号 別冊付録「アナログウェア No.7」の内容を再編集・加筆して構成したものです.
目次
電池開発の歴史と現状,そして未来
イントロダクション なぜ,リチウムイオン電池か
充放電のメカニズムと特性向上のテクニック
第1章 リチウムイオン電池の信頼性
1-1 リチウムイオン電池とポリマー電池
1-2 電池寿命と2種類の寿命モード
1-3 電池劣化の要因…その1:充電電圧
1-4 電池劣化の要因…その2:環境温度
1-5 電池劣化の要因…その3:電池の使用深さ
1-6 電池劣化の要因…その4:保存最適条件
1-7 電池劣化を阻止抑制する電解液添加剤
発熱/発火のメカニズムとさまざまな対策方法
第2章 リチウムイオン電池の安全性
2-1 電池の破裂,発熱/発火…ポリマー電池は安全?
2-2 なぜ破裂するのか? どのように防ぐか
2-3 電池破裂への安全対策
2-4 発熱のメカニズム
2-5 どのような事態で燃えるのか…発火要件
2-6 メーカでの安全対策…安全化部品/機構
2-7 安全対策…その1:セラミック・コート
2-8 安全対策…その2:添加剤
高出力と高エネルギ密度の両立を目指して
第3章 リチウムイオン電池の急速充電/大電流用途
3-1 急速充電の前提条件…何が必要か
3-2 大電流で充電する工夫
3-3 LTO(チタン酸リチウム)やHC(ハードカーボン)はなぜ急速充電できるのか
3-4 黒鉛負極は急速充電できないか?…電気自動車ではどうなっている?
3-5 リチウムイオン電池の将来展開
3-6 リチウムイオン電池の高出力化
リチウムイオン電池の信頼性を左右する
第4章 電池の製造工程と品質管理
4-1 電極作製の管理と容量の確認
4-2 電極部材の選定と電極の管理
4-3 正負極のサイズと容量の差異化
4-4 間欠塗工電極とテーピング
4-5 アプリケーションと電解液
4-6 出荷時の管理
4-7 電池の劣化解析
4-8 ポリマー電池と信頼性
Supplement アルカリ電池使用上の懸念「漏液」
信頼性,安全性から技術研究開発が進むポストLiの電池たち
第5章 リチウムイオン電池の進化型と革新電池
5-1 ナトリウム(Na)イオン電池
5-2 イオン液体電池
5-3 高濃度電解液電池
5-4 電池の高容量化…酸素イオンの利用
5-5 革新電池…ポスト・リチウムイオン電池
Appendix 1 電池に関する用語解説
Appendix 2 電池に関する正負極材料の略号と特徴