しくみを知れば真の波形が見えてくる
ディジタル・オシロスコープ実践活用法
天野 典 著
B5変型判 176ページ
定価2,420円(税込)
JAN9784789840989
2010年5月15日発行
電子回路の真の波形を捕らえるためには,測定器本体やプローブのしくみから理解して,オシロスコープの性能や機能を100%引き出す必要があります.波形を目視で観測できるオシロスコープは,電気の振る舞いを観測できる大変便利な測定器です.しかし,動作原理を無視してスイッチやつまみを設定すると,誤った計測をしてしまいます.
本書では,陥りやすい誤った使い方から正しい使いこなし方までを,実際の回路での使用事例を交えながら解説します.
目次
イントロダクション 信号波形を正確に観測するテクニックを身に付ける
0.1 正しく観測できていない例
0.2 ディジタル・オシロの多彩な機能を使い切れていない例
第1部 オシロスコープのしくみと仕様
第1章 刻々と変化する信号を測定する
1.1 目的は電気の時間変化を波形で表示すること
1.2 被測定信号に対してサンプリング周波数は2倍以上必要
1.3 電圧レベルと時間の分解能の考え方
1.4 電圧の確度は直流で決められている
Appendix A よく使われる計測器のしくみと確度
第2章 三つの重要な性能指標とその意味
2.1 三大性能その1:周波数帯域
2.2 三大性能その2:サンプル・レート
2.3 三大性能その3:レコード長
2.4 カタログに現れない性能
2.5 カタログに現われにくいトリガの性能
第3章 オシロスコープの種類と動作原理
3.1 アナログ・オシロスコープの構造
3.2 アナログ・オシロスコープとディジタル・オシロスコープの違い
3.3 アナログ・オシロスコープでの波形解析方法
3.4 ディジタル・オシロスコープの限界と進歩
3.5 ディジタル・オシロスコープの構造
第2部 測定前に知っておきたい標準的な機能と使い方
第4章 電圧や時間を「正しく」測定するための基礎知識
4.1 測定に必要なレコード長を選ぶ
4.2 目視確認で重要な波形取り込みレート
4.3 電圧を「正しく」測定するために
4.4 時間を「正しく」測定するために
第5章 正確な波形取得に欠かせないトリガのテクニック
5.1 自動測定の落とし穴
5.2 確実にトリガをかける方法
5.3 さらに上手にトリガをかける方法
第6章 測定に不要なノイズを減らすノウハウ
6.1 必要な周波数帯域で信号を測定する
6.2 アベレージを使って安定した計測結果を求める
6.3 単発波形に適用できる移動平均
6.4 ピーク検出機能と低サンプル・レートの併用
6.5 安定したトリガを得るためのテクニック
第7章 FFTを使った周波数解析の手法
7.1 FFTの使い方
7.2 周波数の計測確度を上げるには周波数カウンタを利用する
第3部 実例で学ぶプロービング・テクニック
第8章 信号をプローブで正しく取り出す
8.1 測るということ自体が誤差を招く
8.2 標準プローブを理解しよう
8.3 グラウンド線の悪影響と対策
8.4 電流波形を見るには
8.5 オシロスコープとプローブのセットで高周波特性が決まる場合も
8.6 高電圧を計測するには
8.7 誤差を招く三つの要因
第9章 電源回路の基本測定テクニック
9.1 配線インピーダンスによる悪影響と対策方法
9.2 リプルと電圧ドロップの測定
9.3 高速デバイスによるノイズの測定
9.4 電流プローブによる電流測定
9.5 フローティング電圧の測定
9.6 スイッチング・デバイスのオン電圧の測定
9.7 電力の測定…電圧プローブと電流プローブにはスキューが生じる
9.8 高調波の測定
Appendix B 変動する信号は表示モードを変えて観測
第10章 シリアル・バスの観測とアクティブ・プローブの安全な使い方
10.1 組み込み機器に使われる低速シリアル・バスI2CとSPI
10.2 I2Cの信号の取り込み
10.3 低速シリアル・バス信号のトリガのかけ方
10.4 使う前に知っておきたいアクティブ・プローブの基礎知識
10.5 アクティブ電圧プローブの使い方には細心の注意を
10.6 アクティブ電圧プローブは破損に注意!
第11章 高速信号の扱いと測定方法
11.1 パラレル・バスの限界とシリアルへの変換
11.2 電気信号を波として考える
11.3 高速オシロスコープによる波形測定
11.4 高速プローブを扱う上でのポイント
11.5 オシロスコープやプローブの周波数帯域とは?
Appendix C オシロスコープの操作パネルと機能
Appendix D オシロスコープ選択時に知っておきたいポイント