PID制御/ディジタル制御技術を基礎から学ぶ
シミュレーションで学ぶ自動制御技術入門
付属のCD-ROMは,Windows11まで動作確認済です.
広井 和男/宮田 朗 共著
B5変型判 176ページ+口絵4ページ
CD-ROM付き
定価3,080円(税込)
JAN9784789837132
2004年10月1日発行
好評発売中!
制御技術は現在,あらゆる分野に深く入り込み,重要な役割を果たしています.しかし,この制御技術がよく理解され,正しく使用されているとはいい難い状況があります.
そこで本書では,もっとも広く使われ圧倒的シェアをもつPID制御を中心に,PID制御を補完するFF(フィードフォワード)制御について,詳しく説明します.また,付属CD-ROMに収録したシミュレータを使い,理論に基づく動きを体感・確認しながら,理解を深められます.
本書では,「PID制御はすべてに適用できるうえに,PID制御がすべてに最適になるように変形・加工して個別最適化を可能にする」レベルに達することを最大の狙いとして,説明を展開します.
目次
カラー口絵 本書付属シミュレータの特徴と操作例
はじめに
第1章 現代社会と制御技術
1.1 日本の工業力と制御技術
1.2 プラント運転制御システムとIT化と制御技術の関係
1.3 基盤制御技術と本書の基本コンセプトについて
第2章 自動制御/フィードバック制御の世界
2.1 制御とは
2.2 手動制御とフィードバック(FB)制御
2.3 制御の過去,現在,将来
2.3.1 制御の歴史
2.3.2 PID制御の誕生と発展
2.3.3 PID制御の現在とこれから
2.3.4 PID制御の位置付けと特徴
2.3.5 多用される制御技術とは
2.4 自動制御の例
第3章 自動制御システムの構成
3.1 手動制御から自動制御へ
3.1.1 加熱炉出口温度の手動制御
3.1.2 手動制御から自動制御へ
3.1.3 自動制御の必要性
3.2 自動制御系
3.2.1 制御対象
3.2.2 検出器
3.2.3 調節計
3.2.4 操作端
第4章 自動制御システムとブロック線図
4.1 ブロック線図の構成要素
4.2 構成要素のブロック線図表現
4.3 自動制御系のブロック線図表現
4.4 多変数システム
第5章 PID制御基本式はどのようにして生まれたか
5.1 P(比例)制御
5.1.1 P制御の基本的考え方
5.1.2 P制御における偏差eと操作出力との関係
5.1.3 P制御系の制御特性
5.1.4 P制御の限界(オフセットの発生)
5.1.5 P制御でオフセットが発生するメカニズム
5.1.6 P制御の使い方
5.1.7 シミュレーションによるP制御特性の確認
5.2 PI(比例+積分)制御
5.2.1 オフセットを除去するには
5.2.2 P制御の強さとI制御の強さの関係付け
5.2.3 PI制御における偏差eと操作出力との関係
5.2.4 PI制御の制御特性とオフセットの除去
5.2.5 PI制御でオフセットが除去できるメカニズム
5.2.6 PI制御の使い方
5.2.7 シミュレーションによるPI制御特性の確認
5.3 PID(比例+積分+微分)制御
5.3.1 PI制御に欠けているもの:D動作
5.3.2 P制御の強さとD制御の強さの関係付け
5.3.3 PID制御における偏差eと操作信号との関係
5.3.4 PID制御の制御特性
5.3.5 PID制御の使い方
5.3.6 シミュレーションによるPID制御特性の確認
第6章 理想形PIDから実用形PIDへ
6.1 ラプラス変換(Laplace transformation)のあらまし
6.2 PID制御の伝達関数表現
6.3 PID制御基本式の実用上の問題点
6.4 理想形PIDから実用形PIDへの工夫
6.4.1 1次フィルタの挿入
6.4.2 具体的1次遅れフィルタの形式
6.4.3 PID制御の二つの実用形態
6.4.4 完全微分と不完全微分の比較
6.4.5 PIDパラメータ値の相互変換
6.5 偏差PID制御から実用形態への工夫
6.5.1 偏差PID制御の問題点
6.5.2 測定値微分先行形PID(PI-D)制御
6.5.3 測定値比例微分先行形PID(I-PD)制御
6.6 副作用対策
6.7 制御対象とPID制御動作の選定
6.7.1 流量,圧力の制御
6.7.2 水位(圧力)の制御
6.7.3 温度,成分制御
6.8 PID制御と人間の制御思考との類似性
6.8.1 判断方法
6.8.2 変化への対応
6.9 PID制御のまとめ
第7章 ディジタル制御の実際
7.1 アナログからディジタルへ
7.1.1 アナログとディジタルの特徴
7.1.2 ディジタル化の歴史
7.1.3 ディジタル制御系の概念
7.1.4 ディジタル系での信号表現
7.2 ディジタル変換法
7.2.1 ディジタル系への変換
7.2.2 位置形演算と速度形演算
7.2.3 ディジタル変換法
7.2.4 実用偏差速度形ディジタルPID演算式
7.2.5 実用測定値微分先行形ディジタルPID演算式
7.2.6 実用測定値比例微分先行形ディジタルPID演算式
7.2.7 制御出力波形
7.3 本質継承・速度形ディジタルPID制御演算方式
7.3.1 従来形速度形ディジタルPIDコントローラの問題点
7.3.2 PIDの本質継承のための基本原則
7.3.3 本質継承・速度形ディジタルPID制御演算方式の構成
7.3.4 従来形と本質継承形の応答比較
7.3.5 まとめ 89
第8章 制御系の応答と制御評価指標
8.1 制御系の基本機能
8.2 制御特性の評価指標
8.2.1 制御系の応答波形に基づく定量的評価指標
8.2.2 偏差の積分値に基づく定量的評価指標
8.2.3 制御系の応答波形に基づく視覚的評価指標
第9章 PIDパラメータの調整方法
9.1 制御対象の特性表現
9.1.1 1次遅れ系の特性表現
9.1.2 2次遅れ系以上の特性表現
9.2 ジーグラー・ニコルスの最適調整法
9.3 その他の最適調整法
9.4 微調整
9.5 具体的なPIDパラメータの決定と調整
9.6 制御対象の特性変化への対応
9.7 実用調整法
9.7.1 実用調整法の必要性
9.7.2 実用的調整法
9.8 ディジタルPIDコントローラ調整上の留意点
第10章 PID制御の2自由度化
10.1 2自由度化の必要性
10.1.1 外乱抑制最適と目標値追従最適の両立
10.1.2 PID制御の個別最適化
10.2 2自由度PIDの生い立ち
10.3 2自由度PID制御の具体例
10.3.1 P動作のみの2自由度PID制御
10.3.2 PD動作のみの2自由度PID制御
10.3.3 完全2自由度PID制御
10.4 まとめ
10.5 シミュレーションによる2自由度PID制御特性の確認
第11章 アドバンスト制御
11.1 アドバンスト制御の意味
11.2 アドバンスト制御の適用メリット
11.3 アドバンスト制御の現状
11.4 アドバンストPID制御
11.5 FF(フィードフォワード)/FB(フィードバック)制御
11.5.1 フィードバック制御の原理的限界
11.5.2 FB制御の限界を乗り越えるには
11.5.3 FF制御モデルGF(s)の導出
11.5.4 実際のFF制御モデル
11.5.5 分離形ディジタルFF/FB制御方式
11.5.6 FF/FB制御の効果
11.5.7 FF制御の応用例
11.5.8 FF/FB制御のまとめ
11.5.9 シミュレーションによるFF/FB制御特性の確認
11.6 FF/FB制御に不可欠なカスケード制御
11.6.1 一般の制御系の問題点
11.6.2 カスケード制御の構成
11.6.3 カスケード制御の目的
11.6.4 FF/FB制御との組み合わせ
11.7 FF/FB制御の非混合型プロセスへの応用
11.7.1 プロセスの区分
11.7.2 非混合プロセスとは?
11.7.3 非混合型プロセスに適したFF/FB制御方式は?
11.7.4 FF/FB制御方式の非混合型プロセスへの応用
11.7.5 具体的な機能ブロック構成
11.8 FF/FB制御の混合型プロセスへの応用
11.8.1 混合プロセスとは?
11.8.2 混合型プロセスに適したFF/FB制御方式は?
11.8.3 FF/FB制御方式の混合型プロセスへの応用
11.8.4 加熱炉出口温度制御式の導出
11.8.5 具体的機能ブロック構成
11.8.6 ゲイン・スケジューリング形FF/FB制御方式の基本機能構成
付録 本書付属シミュレータの説明
1.動作環境
2.シミュレーション・プログラムの起動準備
3.シミュレーション・プログラムの起動
4.メイン画面の操作説明
5.コントローラ・パネルの操作説明
6.SV折線,DV折線の操作説明
7.ペン・レコーダの操作説明
8.ハードコピー画像の操作説明
9.学習機能の操作説明
10.自習機能の操作説明
シミュレーション事例:目標値追従特性比較
●本書付属のCD-ROMについてのご注意
本書付属のCD-ROMの貸与または改変,複写複製(コピー)はできません.詳しくはこちらをご覧ください.